総合成長
〜まち、ひと、組織を躍進させる〜
はじめに
私は醤油屋の家に生まれ育ちました。郷土の味の決め手としてまちに必要とされてきた 自社の醤油が、外食、中食産業や物流の発達とともにその必要性が薄れてきている現状を 変えたいとの想いで、家業を継ぐことを決意しました。そして、伝統食材を新しい形で活 かすことでまちをさらに盛り上げ、地域と自社とを共に成長させていきたいと考え、家業 に取り組んでいます。私が公益社団法人所沢青年会議所に入会したのも、地域を想い活動 に励むことで、まちの成長と自身や自社の成長が両立できる場だと考えたからです。
(公社)所沢青年会議所は2023年度の創立60周年を機に、変化し続ける時代の中 で今後もまちに必要とされる組織の在り方を見つめ直し、私たちと地域が共に成長し価値 を高めることができるサイクルの創出を目指し、新たな一歩を踏み出しました。その実現 のためには、時代に沿った地域課題の解決に加え、課題に向き合い行動することによるメ ンバーの成長、私たちの取り組みの周知による波及効果まで念頭に置き運動を展開する必 要があると私は考えています。今こそ一丸となって、まち、ひと、組織の総合成長を追求 し突き進んでいきましょう。
まち特有の価値の創出と人々への呼応
近年ではDX化が進み、仕事や生活のあり方は著しく変化し続けています。ECサイト の発展、デジタルコンテンツの市場拡大、リモートワークの普及等により、様々なことが 自らの足を運ばずに完結できるようになりました。生活が便利になる一方で、地域の差別 化が難しい時代になっています。その中でこのまちが人々にとって魅力的な場所であり続 けるためには、ところざわがもつ独自の価値を磨き上げることが今まで以上に必要である と私は考えます。
ところざわは農、商、工、観光業が揃い、都市機能と豊かな自然とが調和するまちで す。さらに近年では環境に優しいまち、災害に強いまちとして注目され、今後も駅前の大 型商業施設の開業や三ケ島工業団地の拡張等さらなる発展が期待されています。しかし、 私たち市民はこれだけの恵まれた環境にありながら、それらをまちの価値として十分に活 かしきれていないように私は感じています。まちを構成する数多くの要素がもつ可能性と 向き合い、それらを活用し魅力へと昇華させることで、所沢JCがこのまち特有の付加価 値を創出し発信してまいります。
また、まちの魅力の発信と同時に、私たちの取り組みについても発信することを怠って はなりません。青年会議所の取り組みに賛同し共に積極的にまちづくりに参加する人々を
増やすことが、まちの成長を促進させることにつながるからです。ところざわを自らまち づくりを進める人々で溢れる理想のまちとするべく、地域の人々の心を動かし呼応させる ような運動を展開してまいります。
子供たちが切磋琢磨する機会の創出
子育て環境における地域コミュニティの在り方は、時代とともに大きく変化していま す。核家族化や少子化により過保護や過干渉な親が増加傾向にあること、いじめや体罰等 が問題視されニュースでも多く取り上げられるようになったことにより、教育管理が徹底 され子供たちを守る社会へと変化していきました。子供たちの安全が確保される一方で、 大人たちが子供たちと接するうえで、問題やクレームにならないようにと一定の距離を保 つようになっていることが、地域コミュニティ内での子供たちとの関わりが昔と比べ希薄 化している原因だと私は考えます。
誰一人取り残さない社会を目指すうえで、立場の弱い者を守ることはとても大事なこと ですが、そのことと子供たちが切磋琢磨する機会を奪うこととを履き違えてはいけませ ん。優劣のつく競技においても勝敗から得られる感情が、次の結果につなげるための方法 を身に付ける原動力となるからです。
私は会の代表としても、一人の地域の大人としても子供たちと真摯に向き合い、子供た ちの成長につながる機会をつくっていきます。これからの時代を生きる子供たちが、今後 の人生において何度も訪れるであろう、自分自身と勝負する瞬間に向き合っていくための 力を付けることができるよう、私たちは全力で青少年事業に取り組んでまいります。
経済人としての成長から始まる地域成長
日本青年会議所ではビジネスの機会の創出を推奨すべく、2018年に定款が改正され ました。ビジネスと聞くと利己的な印象を持たれる方もいると思いますが、個々のビジネ スの成長は重要な地域貢献の一つであると私は捉えています。それぞれがビジネスを成長 させることで雇用や地域の付加価値の創出につながり、地域経済が活性化することで地域 全体の発展に寄与するからです。私たちは目先の利益のためだけではなく、地域との相互 成長を目指してビジネスに向き合ってまいります。経済人として必要な知識やスキルを向 上させ人的ネットワークを広げ、そのノウハウや人脈を地域の方々と共有することで、地 域全体のビジネスの機会を創出し、自己の成長から地域経済の発展につなげてまいりま す。
また、私たちが青年会議所での活動・運動に日々力を注いでいけるのは、地域関係者、 先輩諸氏、家族や会社等の周囲の方々の支えがあるからだということを忘れてはなりませ ん。そして私たちの取り組みは、周囲の方々のご協力によって組織の枠を越えた力とな り、さらなる効果を発揮することができるのです。私たちはご支援、ご協力いただいてい る全ての方々への感謝の気持ちを忘れず、期待に応えられるよう活動に励む責務がありま
す。一人ひとりが自覚を持って積極的に参加し、自己と地域との相互成長を目指し活動に 邁進していきましょう。
より力強い組織づくり
(公社)所沢青年会議所にとって最も重要な課題とも言えるのが会員拡大です。近年は 100名前後の会員数を推移しており、埼玉県内でも力のあるLOMではありますが、実 状は平均在籍年数が4年未満となっており、組織としての積み重ねが困難になってきてい ます。私はこの状況を前に、多くのメンバーが青年会議所の三信条である「奉仕・修練・ 友情」のもとお互いに切磋琢磨し、地域社会に貢献する団体になっていかなければならな いと、改めて強く感じています。そのための第一歩として、会員拡大に全力で取り組んで いかなければなりません。多くの青年が結集し、知恵を絞り、意見を交わし、まちのため に行動することができる力強い組織を目指して、組織一丸となって会員拡大に取り組んで まいります。
また、参加できる期間が40歳までと限られているこの組織において、一人ひとりの成 長は大きな財産となります。より良い組織をつくっていくためには、実績を積み重ね、過 去の経験を活かしてさらなる成果を生み出すサイクルをつくり上げる必要があります。そ のサイクルを確立するためには、在籍年数の浅いメンバーに成長の機会を提供し、経験豊 富なメンバーが自らの経験を組織の財産として次代に引き継いでいかなければなりませ ん。より高次元な事業展開ができる質の高い組織となるよう、新入会員の育成に全力で取 り組んでまいります。
結びに
(公社)所沢青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を目指し、地域のために様々な 活動・運動をしています。しかし、青年会議所の使命はあくまでも「青年が社会により良 い変化をもたらすために、リーダーシップの開発と成長の機会を提供する」ことであり、 青年会議所は私たち青年のためにあるのです。地域の未来も自身の成長も、私たちが当事 者意識をもって自ら考え行動しなくては成し得ません。
60年にわたり受け継がれてきた想いを紡ぎ、新たな一歩を踏み出した私たちが、ま ち、ひと、組織の明るい未来を見据え躍進できるよう、私はこの会の先頭に立ち1年間邁 進してまいります。今こそメンバーそれぞれのもつ知識、経験、発想、スキルを結集し、 私たちの愛する所沢市、そして市内に暮らす人々のために全力で取り組み、自身と組織の 成長につなげていきましょう。